障がい者就労ファームチャレンジド立野
地域の健康を支える佐渡番茶
佐渡はかつてからお茶の産地であった。
島の中央新潟寄りに位置する吉井地区では番茶が盛んに作られていたため吉井茶という名で島外へも出していた。
潟端(かたばた)地区では茶葉生産から米作りへと転換していった。
煎茶にも使われている葉を使用している。
煎茶は緑茶の一種であるが一般的に「緑茶」は生葉を蒸して発酵を止めて揉んで乾かす不発酵茶。
「番茶」はそこからさらに焙煎したものをいう。
特に吉井地区では昔から番茶で作ったお粥、茶粥が朝食だった。
梅干しや漬物でさらっといただく茶粥は胃の調子を整えてくれて薬だという人もいた。
二日酔いにも効くし朝昼晩と毎食食べていた人もいるくらい。
チャレンジド立野 代表の後賀田さん
JA勤務を経て福祉施設で障がい者の就労支援に携わった。
佐渡の過疎化や生まれ育った吉井集落での農業に人が足りないとのこともあり、福祉施設から独立し障がい者通所施設を立ち上げる。
特別支援学校の生徒が卒業後に働けるよう市と連携しながら2013年に創設した。
現時点(2022年11月)では9時から16時まで14名の障がい者が働いている。
室内での作業だけではなく外の空気にも触れる農業もできるのが働く環境としては充実しているのではないか。
引きこもっていた障がい者が仕事を通して笑顔もでてくるようになった。
設立当初はマルシェなどのイベントに出ていても知られていなかったので、
売り上げも少なかったが今では少しずつ知ってもらえるようになった。
自然栽培への取り組み
後賀田さんは「子どもができたときに農薬を使わない栽培をしたかった。」と話してくれた。
水稲では除草剤のみ使用し、殺菌剤・殺虫剤は使用しない栽培から始まった。
野菜の自然栽培ではその土地その土地で畑に合う作物があり合わないものもある。その時は作付けの変更をしている。
繁殖牛の餌も自然栽培をしている。夏はとうもろこし、冬は寒菊なども栽培している。
自然栽培なので粒は小さめだが種のついたシャインマスカットも実る。
世代を超えたバトン
農地は農作業が負担になってしまったお年寄りから田畑を借りてもいる。
そして栽培した野菜は地域の保育園で子どもたちに食べてもらっている。
吉井有機給食応援隊の一事業者でもある。
子どもから働き世代へ、そしてお年寄りへとバトンをつなぐように事業が成り立っている。
番茶の楽しみ方
・水出し
・低温で抽出する旨味、高温で抽出する苦味
・一種類の茶葉でいろんな味が楽しめる。
チャレンジド立野での番茶一年の流れ
2月 整枝(枝の形を整える)化学肥料なし 農薬なし
3月〜6月 茶園整備(手作業で茶木内の草取り、虫の巣取り)
6月 刈り取り前は虫を逃すためホウキではたく 変な葉は摘み取る
一番茶摘み取り→JA番茶工場にて番茶へと蒸して発酵焙煎
10月〜11月 整枝(伸びた葉を落とし形を整える)