カルム農園
梶原由恵
1979年兵庫県神戸市にて生まれ育つ。
大学は名古屋で勉強し卒業後は経理や介護に携わり社会人としての経験を積む。
30歳を過ぎた頃に体調の変化に気づき食生活を見直す機会を得た。
その際、食生活を見直すことが人生を転換させるきっかけとなる。
現在は父の実家のあった佐渡に移住し、
羽茂で野菜やベビーパーシモン(ミニ柿)、紫蘇やゴマ、唐辛子を栽培しながらオリジナルブレンドの七味を製造販売している。
旬のもぎたての野菜と果実のおいしさ
30歳を過ぎ社会人として経験を積んできた疲れが気だるいという形となって身体に現れてきた。食生活もかなり乱れていた。
身体を変えるには食の見直しをと食に対しての興味が湧いてきた頃、愛知県の職業訓練所で農業を学ぶ機会に恵まれた。
訓練所では特に夏野菜の栽培方法を学んでいた。
農業大学の生徒との交流も多く、野菜や果物を直売で購入できることも多かった。
そこで食べたもぎたての野菜や果物の味に一つ一つ驚き感動していた。
「旬のものは水々しくて、とても甘い。これまでは野菜がいつ旬のものなのかも分からなかったのでもっと早く知っていたら
自分の身体に対する考え方も違っていたのかなと思う。」と話してくれた。
佐渡の孫ターン
安全で安心なものを作りたいという想いから、
極力農薬や化学肥料を使わずになるべく自然の力を借りて栽培する農法へと意識が向いていき、
そのような農法を実践し世界農業遺産にも認定されている佐渡で農業をすることを決意する。
職業訓練所で農業を学んだ後に、まずは6次産業の法人で働きたいと農業を営む会社に入るも、
次第に、分業ではなくお客様に説明する上で一から生産過程を説明できるようになりたいとの思いを抱えるようになった。
そして食がどのように成り立ってできるのか自分が体験してきたことを伝えてみたいという気持ちもあった。
やはり自分でやってみなければ始まらないと思いたち、佐渡でもさまざまな出会いを経て、
今は海の見える棚田で畑や果樹園地を借りることができた。
「父の実家が外海府(島の海に面した左側)にあったため年に一回は墓参りに来ていた。
おばあちゃんの家に親戚が集まり海でBBQをするのが恒例でした。」
幼い頃からの佐渡での楽しい思い出の地が今では好きな農業を思いっきりできる本拠地となったのだ。
その土地から生み出す味
夏は枝豆、サンマルツァーノトマトなどの野菜、七味に使う紫蘇やゴマ、唐辛子、
秋はベビーパーシモン(ミニ柿)などを育てている。
地域の農家さんから教えてもらった農法を元に梶原さんはその土地で地のものを堆肥として土に混ぜている。
牡蠣殻、自身で籾殻を蒸して灰になる手前の籾殻勲炭というもの、牛ふん、腐葉土を山から持ってきたもの。
土によって味が変わるという梶原さんは
「栽培には土が一番大事だと思っています。土は人の身体と一緒で野菜を育てるもの。多様な菌が生きる土を作りたいです。
土の中にたくさんの種類の菌がいることによって調和され作物の味にも影響するのかなと思います。」
春までに販売を終える旬の七味唐辛子
佐渡での生活が始まった頃、若手農家が集まり情報交換や勉強会などを開催する「4Hクラブ」に入っていた。
そこで仲間と四味唐辛子を作りパッケージを整えて販売することになった。
これが七味唐辛子の始まり。
現在も梶原さん一人で生産している
「みかんや柚子の皮もなるべく無農薬や減農薬のものを使うようにしています。
柚子は本柚子と花柚の2種類を使用。種類によって香りの甘さと苦味が変わってきます。
柚子の皮は苦味が強いので、みかんと半々でブレンドしたり山椒は存在感があるので少なめにしたりと
今は一番美味しいと思えるところにたどり着きました。
七味にするまでに何回も試作を重ねました。
その年によって収穫したものの味も変化するので毎回同じ分量でも味が変わってしまう。味を見ながら毎回調整しています。」
佐渡はみかんとりんご両方栽培できる珍しい島。海に囲まれているため、新潟県内でも本土に比べて温かいからだ。
みかんも地元の農家さんに分けていただいて完全に佐渡の食材で作られた七味は、香り豊かで辛味と同時にフルーティーさがある。
「柑橘は香りが飛んでしまうので冬に作ったものを春までに売り終えます。旬の七味の味を楽しんでほしい。」と語ってくれた。
みかんの実
一年の流れ
5月〜6月 唐辛子、胡麻、青紫蘇、種まき
種まき後、薬を撒くこともある
(株元を食べてしまう虫が多く、どうにもならない時はこのネキリムシ対策で薬を撒くこともあります)
8月~10月 収穫
梶原さんの好きな食べ方
卵かけご飯の味変少しふりかけて。
柚子、山椒、七味を混ぜて一つの鍋にさまざまなフレーバーのつみれを入れる。
溶かしたチョコレートに七味を混ぜて大人味に。